授業紹介

地域調査方法入門

授業の目的と内容

この授業で何を学ぶか?

現代社会では、企業・行政・団体や研究機関など様々な主体(ステークホルダー)によって地域調査が実施されています。これは、地域社会の実態把握と問題点の追求、諸課題解決の可能性の検討を考える重要な方法のひとつとして位置づけられます。
本授業では、地域の様々な人々とともに地域の課題について検討するために、地域調査の一連の方法を学びます。地域社会の多様な実態を明らかにするのに必要となる問題発見能力や調査能力、分析能力の基礎を身に付けます。具体的には、地域調査に関する基本的な手法を紹介するとともに、演習によって調査実施のノウハウを体得します。

どのように授業を進めるか?

この授業は、社会共創学部4学科の7人の教員によってオムニバス形式で進めます。大まかには、①社会調査全般にわたる基本事項、②社会調査の概要(量的調査と質的調査)、③地域調査の実際、の3点で、座学と演習を組み合わせながら進めます。授業では、統計データの読み取り、地図の読み取り、アンケート票の作成、聞き取り調査の練習を踏まえ、実際の地域を対象に調査計画を作成します。

調査を企画しよう -授業を集大成した演習から-

本科目の最後に、授業で学んできたことを集大成した演習を行います。2017年は四国中央市の商店街を対象に、各種資料から動向を読み取って調査計画を立てるという練習を行いました。ここでは、演習を行った第14~15回の様子を紹介します。

【演習1】栄町商店街はどのように変わったのか?

授業前の自主学習として、資料から1987年から2016年にかけての栄町商店街(川之江駅前)の変化を読み取り、その原因について仮説を立てました。学生各自がMoodleで課題の提出を行いました。
1987年に一定数の店舗があった衣料品店が大幅に減少し、かわりに福祉施設が新たに増えている、食料品店はあまり増減がない、という指摘がありました。その原因としては、郊外大型店ができて需要が移ったこと、人口減少、特に子どもとその親世代の減少などが挙げられました。
第14回の授業では、学生が個別に考えた内容をグループごとに話し合って共有しました。話し合いは、「フィールド基礎実習」で編成したグループで行いました。
学生達の話し合いの後、教員からコメントと解説を行いました。資料の読み方、問題意識の持ち方など、細かい点にわたって指摘をしました。
これを受け、さらに次の演習に進みます。

【演習2】調査を計画しよう

第14回の検討を踏まえ、学生達は自分が立てた仮説を実証・検証するための調査計画を立てます。第15回までの間の自主学習とし、前回同様Moodleで提出しました。
調査の計画を初めて立てた学生も多く、回答には大きな差が見られました。「原因→仮説→調査」という手順をしっかり踏まえている学生、手順を踏んでいない学生、とにかく現地へ行って考えたい姿勢の学生、すぐにでも調査が実行できるくらいの具体的な内容を記述した学生など、個性が様々です。
第15回の授業では、グループ単位で学生それぞれが考えた調査内容を話し合いました。その後、原因の着目点と調査の方法について教員から具体的に解説を行いました。これを踏まえて再びグループで調査内容を検討し、各グループの代表者のうち、数人に発表をしてもらいました。手順を追ってかなり詳しく組み立てられた計画もあり、教室内から拍手が起こることもありました。

【演習3】新町商店街の変化ととらえ、その原因を調べる調査を計画しよう

授業は第15回で終了です。最終課題として、演習1と2を踏まえて新町商店街(伊予三島駅前)の変化・原因・調査を組み立てることを自主学習として課しました。新町商店街は、2016年の非店舗率が54.2%であり、同年の栄町商店街の30.0%に比べて大幅に高くなっています。特にここに着目し、非店舗率がここまで高くなった原因について仮説を立て、証明するための調査計画を立てます。

教員からひとこと

座学や演習で調査の方法を学んでも、実際のフィールドに出ると想像と現実は違っていて、計画したことが思うように実施できないことがあります。また、教室の中と現場では雰囲気が異なり、学んだことが活かせないこともあります。地域調査はしっかり準備することが必要である一方、現場で咄嗟の対応に迫られることも多くあります。どのような場面にも順応できるように、柔軟な発想と軽いフットワークを身につけていくことにも心がけてください。
「地域調査方法入門」は、「フィールド基礎実習」と同じ時期に進めています。座学・演習と現場実践によって、良い相乗効果が発揮できることを期待しています。また、2年次の前期には「フィールド実習」が始まります。本科目での学びを踏まえ、地域の方々と一緒に調査や実践活動を行う下地となることを願っています。