授業紹介

フィールドワーク入門

さまざまなフィールドワークの手法を学ぶ

フィールドワーク入門がめざす学び

社会共創学部における学びの中では、フィールドワーク、すなわちキャンパス内での授業だけでなく、学外での様々な調査や活動への参加が必要不可欠です。フィールド基礎実習(1年次3〜4Q)やフィールド実習(2年次1~2Q)など、地域社会をどのようにとらえるのかを体験する実習に先立つ学びが、この授業の大きな位置づけとなります。そのため、この授業は社会共創学部の必修科目となっています。
本授業では、フィールドワークの多様な手法・対象について学びます。主なキーワードとして、農山漁村、自然環境、産業分野、企業調査、歴史遺産、環境政策などが挙げられます。これらに対して、「なぜフィールドワークという手法を用いるのか、具体例を挙げて説明できる」、「フィールドワークの手順やどのようなことを明らかにするのか説明できる」、「自分の専門分野を含む、複数の分野の手法を生かしたフィールドワークの企画を提案できる」といった到達目標を設定し、各テーマの専門分野の教員が実体験に基づいてレクチャーします。

地域社会の課題解決に向けた調査の在り方

さて、地域社会の実態をとらえてその課題解決を考える際に、フィールドワークそのものだけが課題解決の手段になるのでしょうか? 答えは、基本的にはNOです。フィールドワークを通じて新たに得る知識や経験は数多く、とても重要です。しかし、こうした知見を効果的に習得し、意識するためには、対象とする物事や地域への最低限の理解やアプローチ方法を身につけていることが重要です。
例えば、対象地域の人々の行動や意識を把握するために、アンケート調査を計画したとしましょう。アンケートをする以上、(1)大勢の人に答えてもらいたい、(2)いろんなことを尋ねてみたい、(3)自分が思いつかなかったことも書いてもらいたい、など回答者に期待することは多いはずです(番号は後の文章と対応)。では、反対に自分がそのアンケートに回答する側になった場合を想像してみてください。いつもと同じ道を歩いていると、(1)全然知らない人がアンケート用紙を持って自分に近づいてくる、(2)アンケートに協力してみたら、すごく時間がかかりそうな質問が数ページにわたって並んでいる、(3)「その他、ご意見等を自由にどうぞ」なんて言われても、何も思いつかないし、とにかく一刻も早く回答を終えたい。こんな経験はありませんか? そしてこうならないために、アンケート調査をしている人のそばには近寄らないように歩いたことはないですか? これらがまさに、「とりあえずアンケートをすれば何かわかるはず」という、無計画かつ迷惑ともいえる行為であり、実際に得られる成果も少ないという、残念な結果です。つまり、自分(たち)が何を知りたいのかを設定しないままでは、やみくもに質問しても大切な情報を得られないのです。こうならないためにも、この授業では、フィールドワークの前に行うべき準備や動機付けなどについても実例を交えながら解説します。
同様に、フィールドワークの前と後にしておいたほうが良いことがあります。それは、統計資料や文献、インターネットなどで得られる数値的な情報を知り、適切な表現によってグラフなどを用いてまとめておくという手法です。現代社会では、数多くの情報が公開されています。フィールドワークに行く前に、自身で収集可能な情報を見つけて把握しておくことで、実際に見聞きする際の理解度は上昇します。また、説明者に対して、具体的な質問を投げかけやすくもなり、より大きな成果を挙げることができるでしょう。さらに、得られた情報を整理して、見やすい図表を作ることにより、わかりやすく興味深いプレゼンテーションを行うこともできるでしょう。
もちろん、いきなり現地を訪れて、初めて見聞きする事柄に触れ、さまざまな発見を得るという方法もあります。現地の人々にとっては当たり前であった現象や物事が、先入観のない外からの目を通じて新しい価値を見出されることにより、地域の活力が創出されるきっかけにもなるでしょう。

フィールドワークに行く前に

さて以上のことから言えるのは、フィールドワークを行うこと自体が、学生自身の学びだけでなく、地域やその地の大勢の人々と密接に関わることに他ならない、ということです。調査に協力してもらうことも、プレゼンテーションを聞いてもらうことも、地域の人々の理解や協力なしには成り立ちません。少し極端に言えば、一般的な大学の授業は教員の話を聞いているだけでも何とかなりますが、フィールドワークではそうはいきません。得られるものが大きいからこそ、成果を得るための高い意識や入念な準備が必要なのです。これも、フィールドワークの特徴です。この授業を通じて、社会共創学部でのさまざまなフィールドワークへの関心を高めてください。