愛媛大学 EHIME UNIVERSITY

企業紹介

企業基本情報

社名
株式会社ビッグウッド BIG WOOD CO., LTD.
所在地
愛媛県松山市井門町77番地1
設立
1984年
事業概要
オフプライス家具の販売(フランチャイズ事業含む)、ペルシャ絨毯の販売
年商
58億円(2023年)
従業員数
280人(2023年)
  • イメージ:株式会社ビッグウッド
  • イメージ:株式会社ビッグウッド
  • イメージ:株式会社ビッグウッド

主な海外展開国

中国広東省深圳 駐在員事務所 2016年設立

イメージ:主な海外展開国

調査報告

主要製品・サービス

 あなたの家の中をぐるりと見てほしい。そこには実に多くの家具が存在し、われわれは毎日当たり前のようにそれに触れている。一方、家具は求められる機能そのものに加え、デザイン性も重視される。そして一度購入すれば、当分(なかには一生)、生活をともにする。全国に数十店舗を展開するビッグウッドは、機能良し・デザイン良し・価格も良しの「オフプライス家具」の販売を、海外からの独自の調達手段で実現している愛媛県発祥の企業である。

  • イメージ:主要製品・サービス
  • イメージ:主要製品・サービス

海外での商品調達の背景

 当社は社長自身が創業者であり、当初は一般的な家具小売業であったが、1990年代半ば頃から海外での家具仕入れに着手した。そもそも家具の製造には、広大な工場敷地や大型・最新の加工機械が必要であるため、今日、純国産のものはほぼ存在しない。一方、中国などの新興国には多数の家具メーカーが存在する。ただし、仲介企業を通して仕入れるとマージンが高いため、当社が直接仕入れる方法を取ることとした。
 買い付け先は中国が最多である。中国の家具市場は年5兆円ほどとされ、うち2兆円相当は国内向けで中国人好みのデザイン、残り3兆円相当が欧米向けのデザインである。家具のデザインは2~3年周期で変化するため、後者の中で型落ちになった商品を当社が現地で直接購入する。この際、一つの取引先からのみではまとまった数を仕入れることは難しいため、取引する企業を多数確保しておく必要がある。福岡県大川市にある商品部で仕入れ可否の判断や決済を行い、併設の物流倉庫へ一度搬入される。商品の仕入れは頻繁に行われるため、この業務は長年の経験を有する社員に一任されている。現地での調達体制を強化するため、2016年に広東省深圳に駐在員事務所を設立し、長らく日本で生活した経験を持つ中国人駐在員1人を置いており、今後は増員も予定している。コロナ禍においては、中国でのロックダウンの影響は大きくなかったが、家具を運ぶためのコンテナが不足し、2021年秋頃には商品の入荷がほとんどなく、苦しい経験をした。

  • イメージ:海外での商品調達の背景
  • イメージ:海外での商品調達の背景
  • イメージ:海外での商品調達の背景

「オフプライス家具」の販売

 ビッグウッドでは2024年現在、国内で直営店31店、フランチャイズ店23店を展開している。店舗は関東から九州まで広く展開しているが、未出店エリアも多く、全国展開が可能となるよう、仕入れ体制の確立を重視している。新規出店1店舗あたり、従業員7~8人を必要とするが、出店する地域によって売上に大きな違いはない。国内での店舗展開が順調に進めば海外進出もありうるが、まだ遠い先である。
現在の売れ筋商品は、「足物(あしもの)」と呼ばれるソファーやベッド、食卓セットとテレビボードであり、とくに前2者が多い。店舗に同じ商品が複数存在するわけではないため、来店客は購入意思を早く決定する傾向にある。商品が短期間で入れ替わるため、ネット通販で販売するだけの量は確保できず、実店舗だけの販売で十分である。旧型家具を取り扱うオフプライス市場はアメリカでは一般的になりつつあり、その市場規模は15兆円規模に上る。
 正規品とは異なる商品を安く販売する方法として、アウトレットという言葉が知られているが、この概念は変わりつつある。アウトレットは大きく2区分でき、メーカーが店舗をかまえる「ファクトリーアウトレット」が従来は一般的であったが、当社のような方法は「リテールアウトレット」と位置付けられ、自社工場はなく、様々な企業等から商品を買い集める形式である。このことをより明確にするために、当社ではアウトレットではなくオフプライスを名乗るようにしている。オフプライスという用語自体がまだ日本では浸透しておらず、家具のオフプライス販売を展開しているのは当社が先駆けであることが強みである。

  • イメージ:「オフプライス家具」の販売
  • イメージ:「オフプライス家具」の販売

今後に向けて

 これまでの経験からも、海外で直に見聞きすることは重要である。オフプライス商品を扱う店舗には最高級のブランド商品こそないが、それなりのブランド性や使用上問題のない品質の商品は多数存在する。何らかのブランド性を有した商品を好む消費者は多く、そこに値ごろ感のあるオフプライス商品がマッチすることから、事業のさらなる拡大を図りたい。