愛媛大学 EHIME UNIVERSITY

企業紹介

企業基本情報

社名
四国ガーデン株式会社 SHIKOKU GARDEN INC.
所在地
愛媛県伊予市上三谷1606番地4
創業
1969年
設立
2006年
事業概要
鉢植え植物の生産・販売、造園業、観葉植物レンタル事業、ライセンス管理事業など
年商
-
従業員数
25人(2024年)
  • イメージ:四国ガーデン株式会社
  • イメージ:四国ガーデン株式会社
  • イメージ:四国ガーデン株式会社

主な海外展開国

アメリカの植物企業との提携

イメージ:主な海外展開国

調査報告

主要製品・サービス

 日々のデスクワークに追われる中、視線を移した先にある観葉植物。手のひらの上に収まる程度の、小さな鉢に息づくサボテン。それらは何かしら、われわれに癒しを与えてくれる。だが、人工物で囲まれた生活の中に、こうした植物はどうやって届けられたのだろうか。植物が身近なものであり続けるためには、グローバルかつローカルな働きかけが必要となる。それを教えてくれるのが、愛媛県伊予市の四国ガーデンである。

  • イメージ:主要製品・サービス
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植物を扱う仕事とは:主な商品とライセンス管理業務

 ここではひとまず、植物を観賞する対象に限定するとしても、四国ガーデンで扱われるのは鉢植えの樹木から種苗まで多岐にわたる。また近年では、「アガベ」の名がついた比較的小ぶりな多肉植物の鉢植えをホームセンターで見かける機会が増えたが、これもまた当社の主力商品の一つである。さらに、似た名称であっても品種の異なる多様な植物を取りそろえていることも、当社の強みといえる。
 植物を取り扱ううえでは、従来の品種の生育だけでなく、植物同士を掛け合わせて新たな品種を育成する、ブリーダーと呼ばれる個人事業主との関係構築も重要となる。まず当社から、植物に求める特徴を最初にブリーダー側に提示する。ブリーダーは品種を交配して生育し、うまくいけば数年で要望したものができあがってくる。こうして生まれた新品種を当社が海外のパートナー企業を介して販売し、ロイヤリティをブリーダーに還元する仕組みである。最初からどのような品種が生まれるか、あるいはどの程度売れるかまでは予測しがたいため、できたときに価値を認めて買ってくれる商品はどのようなものかを意識してブリーダーに依頼することを心がけているほか、出てきた品種すべてがヒットしなくても、いくつかがヒットすれば全体として利益となることを見越して計画を立てている。

  • 植物を扱う仕事とは:主な商品とライセンス管理業務
  • 植物を扱う仕事とは:主な商品とライセンス管理業務

海外経験を通じた現職までの歩み

 当社社長は農学系の大学院修了後、日本企業のアグリ事業部を経て、アメリカ・カリフォルニアの植物生産企業に転職した。さらにシカゴの別企業への移籍を経て、親が経営する植物関係の企業を自身が継いでやりたいことをしたほうがよいと考えるようになり、2010年より現職に就いた。アメリカの企業在職当時は、民間の植物ブリーダーから植物を預かり、検疫後にアメリカで栽培し、有望な品種を登録して販売する業務を行っており、品種登録はアメリカでは同様の扱いであった。前職のアメリカ企業との関係は現在も続いていて、週2日、この企業の業務に専従するという法人同士での業務委託契約を結んでおり、日本のブリーダーが作出した品種を、アメリカ、ヨーロッパ、中国に持っていく事業を担っており、近年では特に中国での販売拡大が企図されている。コロナ禍を境にアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、中国など多元接続Zoomで毎週、英語によるミーティングが行われ、コロナ禍以前よりも多忙となった。

  • 海外経験を通じた現職までの歩み
  • 海外経験を通じた現職までの歩み

植物をもっと身近に

 植物はモノを言わないが、枯れるときには必ず理由があり、水や肥料がどのくらい必要なのかは、毎日よく観察しないとわからない。人間も同じで、個々人が何を求め、何をしたいのか、よく見ないと把握できない。また社長は読書を好むが、以前読んだ書籍に、個人が直接面倒をみることのできるのは12人までとの記述があった。社員数がこれを超えた今、社員が自ら考えて判断して仕事をできるよう、社内では2週間おきにミーティングを実施している。例えれば、目指すのは野球チームではなくサッカーチームであり、この意図は各人にポジションにこだわらずに必要な役割を果たしてもらうことである。
 また、公式Instagramでは毎日、植物の写真をアップし、花の履歴書を作成して情報発信していた(現在は社員が担当し、日々おすすめの商品を紹介している)。これらは植物全般についての啓発活動であり、見た目以外からも植物に興味を持ってもらいたいと考えている。また、過去にはNHKの趣味の園芸で講師を担い毎月のテキストを執筆したりしたこともあった。現在でも近畿大学農学部で非常勤講師として集中講義を担当している。

今後に向けて

 「まかぬ種は生えぬ」との信条から、将来に向けた事業展開を心がけている。今後は日本で育成された植物を海外展開する際には、植物の物流だけにとどまらず、ライセンスといった知的財産の管理も重要となってくる。モノとしての植物だけでなく、それを取り巻く人との関わりが重要となってくるだろう。