愛媛大学 EHIME UNIVERSITY

企業紹介

企業基本情報

社名
山陽物産株式会社 SANYO BUSSAN CO., LTD.
所在地
愛媛県伊予市湊町206番地19
設立
1992年
事業概要
ホテルアメニティ商品(スリッパ、歯ブラシなど)、化粧品などの製造・販売
年商
45億円(2024年)
従業員数
149人(2024年)
  • イメージ:山陽物産株式会社
  • イメージ:山陽物産株式会社
  • イメージ:山陽物産株式会社

主な海外展開国

中国、ベトナムの現地法人。台湾、タイの企業との取引。

イメージ:主な海外展開国

調査報告

主要製品・サービス

 観光・出張先のホテルで何気なく手にする歯ブラシや入浴時に使うシャンプー、室内でくつろぐ際に履くスリッパなどなど。この製造元の一つが、愛媛県内企業の山陽物産である。近年では、歯ブラシの原材料の一部に米を配合して製造することで、プラスチックの使用量削減が図られている。また同社は国内で唯一、世界的なホテルアメニティ販売グループであるフランスのGROUP GM社と2008年にライセンス契約を結び、ヨーロッパのブランド化粧品の販売も手掛けている。

  • イメージ:主要製品・サービス
  • イメージ:主要製品・サービス

海外拠点の開拓

 当社の海外初進出は、2015年に設置された上海駐在所である。中国では、日本と異なる商習慣への対応が求められた。例えば、工場の看板に記されている企業名と、実際に工場を使用する企業とが異なる場合や、1つの工場を複数の企業が使用していて、工場の管理者がどの企業であるのか、特定が難しいといったケースに直面した。製品の展示会においても、出展企業となっている企業と、実際の担当企業が異なる場合もあった。さらに製品の輸出に際して、直接取引関係にない企業が関与することがあった。この一因として、山陽物産と取引関係にある企業自体が、輸出に関わる権限を有していないことがあると先方企業側は回答してきたが、当初の商談時にはそのような情報提供は行われなかった。

  • イメージ:海外拠点の開拓
  • イメージ:海外拠点の開拓

ベトナム・ミャンマーへの進出

 2019年にベトナム現地法人を設立したが、直後にコロナ禍で全く稼働出来ない2年半が経過した。この間の当座の仕事として、ビジネスパートナーであるミングエン社との信頼関係の強化や、ホーチミンの南約200㎞のチャビンに位置するミングエン社の工場(当社の委託工場)の品質、製造管理に着手した。2021年には大卒新規採用として高度外国人材枠でベトナム人を雇用することで、英語からベトナム語によるコミュニケーションが可能となり、時間と業務の質が各段に改善された。ベトナム進出の一要因でもある、千葉県のホテル企業など4社がベトナム人気観光地ダナンでホテル経営に乗り出す情報を入手し、いち早く営業をかけ取引が決定したが、やはりコロナ禍で立ち消えてしまった。その後、日本は撤退し韓国資本になるも、現在ベトナムパートナーとの連携で営業をかける事で取り戻すことができている。
 さらに新たな海外拠点として、「アジア最後のフロンティア」と呼ばれた人口5000万人超を有するミャンマーにも進出した。しかし2020年のミャンマー現地法人設立と同時にコロナ禍とクーデターのダブルパンチに遭い、設立6ケ月後に撤退の会社判断をせざるをえなかった。将来的にミャンマーに現地工場を設立し、アジアの拠点として稼働するという目標が消え、これが海外ビジネスの一面でもある事を思い知らされた。

イメージ:ベトナム・ミャンマーへの進出

想定外の状況から得られたもの

 コロナ禍収束後、ベトナムではダナン支店を開設したが、日本のビジネスとは全く違い、賄賂(謝礼金というらしい)の交渉、品質良くても高ければ買わない等、考え方、文化の違いをまざまざと見せつけられた。日本流のやり方、考え方から、ベトナム人の視点からビジネスをするために、現在はミングエン社と合同プロジェクトを立ち上げ、それぞれの文化を超えたハイブリッド的なビジネス構築にて、大きく進化しようとしている。
 コロナ禍で現地への訪問はかなわず、営業行為も全くできなかった反面、Zoomなどの遠隔会議ツールが日常となることで、現地との直接連絡が取れるようになり、コミュニケーションはコロナ前より円滑になったと感じる。当社国際部とJETRO職員等との会議も頻繁に行われ、ビジネスマッチングや情報収集等も容易になったこともあって、台湾、タイとの取引もコロナ禍に決定した。
 ただしベトナムでの例にもあるように、遠隔ツールのみでの理解や意思疎通には限界があり、現地で実際に話し合わなければ真実はわからず、ビジネス展開は難しい。

今後に向けて

 中国ならではの商習慣やベトナムの「テト」など、海外に進出して初めて体験・実感することはたくさんある。外国人は日本人と感覚が異なるということを、つねに意識しながら行動することが重要である。この手段として、コミュニケーションを重視した英語が必須であり、異なる国同士のルールをおのずと理解することにもつながる。