企業基本情報
- 社名
- 株式会社サカワ SAKAWA CO., LTD.
- 所在地
- 愛媛県東温市南方2215番地1
- 創業
- 1919年
- 設立
- 1957年
- 事業概要
- 電子黒板、黒板などの製造・施工・販売
- 年商
- -
- 従業員数
- 26人(2025年)
台湾、中国
黒板と聞けば、まず学校、そして懐かしい思い出、それと同時に、チョークとともにいささか古めかしい雰囲気、そんなイメージが一般的かもしれない。しかし今、黒板は劇的な進化を遂げ、これを実現させているのが愛媛県東温市を本拠地とするサカワである。海外メーカーとの連携によって生み出されたウルトラワイド超短焦点プロジェクタ「ワイード」を主力製品に、同社の黒板は教育現場を大きく変化させている。
教育現場において黒板を用いるのは、アジアが主とされる。現存する日本の黒板メーカーは、100年程度の歴史を有するものも少なくないが、近年では黒板の需要が減少し、メーカー数も減り続けている。このため黒板そのものだけの製造・販売では経営は成り立たず、デジタル技術などを組み合わせた新たな製品開発が重要となっている。
当社が開発したワイードプラスは、黒板と超短焦点プロジェクタが組み合わさった製品であり、プロジェクタの製造は、台湾企業にOEM生産を依頼している。プロジェクタからは最大横16:縦6の画面仕様で画像が投影されることが特色であり、黒板の全面あるいは一部に電子画像を投影できる。また、これらの機器で使用できるソフトの開発も当社で手掛けている。
製品の施工・販売先は全国レベルであり、本社では関西・九州方面、東京支社では名古屋以北の顧客を主な対象としている。近年では、ギガスクール構想によって個々の生徒にタブレットが配布されて授業で用いられるようになっているが、教室全体で授業内容を大きく映し出すことができる点も、当社の製品の強みと考えている。ただし、これらの技術はいずれも、黒板を使い続けてもらうための付加価値であるとも当社では認識している。
プロジェクタの製造を担う台湾企業はOEM生産では世界レベルであり、先方から取引のオファーを受けた。黒板にデジタル技術を組み込んだことにより、継続的なメンテナンスも重要となるため、これに対応できる人材の確保・育成も必要となる。画像の焦点が合わない、あるいは音が出ないといった不具合の相談がしばしば寄せられるため、台湾企業とは毎週、遠隔同期形式で会議を行い、情報共有している。
会議の際は、日本語と中国語を通訳してやりとりするが、当社本部長が英語に堪能であるため、英語も用いる。近隣の国・地域の企業であっても文化が違うため、双方が分かり合えるようになるまでが大変であった。円滑なコミュニケーションを実現するため、例えば会議の際は、業務そのものの話題だけでなく、日常会話などを冒頭に組み込むなど、業務の本題に入るまでのウォームアップが重要と考えている。なお、コロナ禍以前は年2回ほど、双方の担当者が互いの本社を行き来していた。
なお、上記企業のほか、中国の企業から、黒板用の材料を購入している。
コロナ禍においても売上に大きな変化はなかったが、海外からの機材購入はすべてドル建てで行うため、円安が当面の課題となっている。また、デジタル技術の進化は著しいため、電子黒板の性能もこれに対応して向上させ続ける必要がある。当社従業員の平均年齢は36.7歳と比較的若いことから、継続的な改良を重ね、電子黒板をさらに普及していきたい。