愛媛大学 EHIME UNIVERSITY

企業紹介

企業基本情報

社名
日泉化学株式会社 NISSEN CHEMITEC CO., LTD.
所在地
愛媛県新居浜市西原町2-4-34
設立
1957年
事業概要
自動車・家電関係部品等、電子関係部品の製造、半導体等向け電子材料の販売
年商
313億円(2023年)
従業員数
349人(2023年)
  • イメージ:日泉化学株式会社
  • イメージ:日泉化学株式会社
  • イメージ:日泉化学株式会社

主な海外展開国

シンガポール現地法人 1982年設立。合成樹脂原料・半導体部材等の販売
アメリカ・オハイオ州現地法人 1988年設立。自動車関係部品の製造・販売
タイ・プラーチーンブリー県現地法人 1994年設立。自動車関係部品の製造・販売
インドネシア・カラワン県現地法人 2012年設立。自動車関係部品の製造・販売
メキシコ・グアナフアト州現地法人 2014年設立。自動車関係部品の製造・販売
中国、台湾、メキシコ、マレーシア、インド、イギリス、ブラジル企業との技術提携

イメージ:主な海外展開国

調査報告

主要製品・サービス

 自動車に乗るそのとき、われわれは通常、自動車を1つの完成品として意識する。しかし自動車は、数多の部品(パーツ)が組み合わされて製造された集合体である。自動車の快適性、安全性を実現するために、部品(パーツ)を提供する企業には、高度な技術が必要不可欠で、自動車メーカーの海外展開に合わせて、部品メーカーの海外展開も同様に行われる。この具体例を新居浜市の日泉化学が教えてくれる。

  • イメージ:主要製品・サービス
  • イメージ:主要製品・サービス

事業展開の特色

 日泉化学は、計22社が建設・化学・物流の大きく3つのブロックで構成される一宮グループにおける化学ブロックの中核企業である。設立当初はポリエチレン等の石油樹脂製品や、洗濯機の部品を製造していたが、この技術を転用して薄肉成型プラスチックの製造技術を新たに開発し、重要顧客にトップセールスをかけて、1981年より自動車の内装部品を製造するようになった。現在まで、自動車部品の製品は、顧客側から基本的なコンセプトが提示され、これをベースに当社で検討して製品作りが行われる流れとなっている。
 2024年にはマテリアルリサイクル事業の試験運転を開始した。これは利用済みのプラスチック製品をもとの原料に戻して再利用するものである。現在は住友化学とともに千葉工場内で進めており、事業の拡大に力を注いでいる。

  • 事業展開の特色
  • 事業展開の特色

海外進出の動向

 日泉化学の海外進出は1982年と比較的早く、これは住友化学のシンガポール進出に合わせた動きであった。現在、シンガポールの現地法人では、再生樹脂の製造を現地企業に委託し、その販売業務を行っている。また、ホンダやダイキンの海外展開に合わせて自動車の内装部品や家電部品製造のための拠点づくりを進めていった。自動車部品を製造するアメリカの製造子会社の現地採用従業員は多国籍で、同一フロア内に10を超える言語が飛び交うほどであるが、コミュニケーションを図りながら安定操業を継続している。タイの製造子会社では、自動車部品と家電部品を製造しており、インドネシア・メキシコの製造子会社では自動車部品を製造している。
 海外の各現地法人には、日本人従業員がトップとして赴任し、マネジメント業務を担っているケースが多い。海外赴任には、国内での業務経験を経て、5年を目安に赴任する。幅広い視野・視座を得られ将来の中核を担う人材を目指す選択肢もある。海外現地法人では宗教・国籍などの多様性も含めて視野を広げることが可能である。
 現地で円滑に安定して生産を行うため、国内で経験を積んだ赴任者のマネジメントの役割は重要で、やりがいを感じられるポジションである。現時点までで、女性従業員の海外赴任の例はないが、キャリアを伸ばしたいと考える人材には性差なくチャレンジできる環境を整えている。

  • 海外進出の動向
  • 海外進出の動向

今後に向けて

 日泉化学のマテリアルリサイクル事業は、今後の海外進出の可能性を秘めている。すでにヨーロッパでは新たに生産される自動車の原材料のうち、25%をリサイクル原料とすることが義務化されており、アメリカでもこの流れがみられる。元来、当社では原料製造から製品づくりまでを、国内外問わず自社内で一括して行うことができる点に強みがあった。そのため今後は、新たな潮流に対応できるものと見込まれている。