企業基本情報
- 社名
- 金城産業株式会社 KANESHIRO SANGYOU CO., LTD.
- 所在地
- 愛媛県松山市北吉田町349番地1
- 創業
- 1927年
- 設立
- 1975年
- 事業概要
- 金属・自動車・家電等のリサイクル事業
- 年商
- -
- 従業員数
- 95人(2024年)
韓国、台湾、中国、ベトナム、タイ
現代の日本社会において、人々はモノのあふれる生活を享受している。では、使い終わった後のモノは、いったいどうなるのだろうか。ゴミでないならリサイクル、という発想はすぐに思い浮かぶ。ではリサイクルは何をどうすれば実現できるのか。さらには、リサイクルすることは世界情勢とどう結びついているのか。愛媛県松山市に拠点を置く金城産業の取り組みが、その具体例を示してくれる。
当社が主に手掛けるのは金属製品である。ただし、近年の国際情勢から鉄の価格が急落した時期もあり、課題の一つである。またアルミニウム精錬の場合、大量の電力を必要とするために、原料からアルミニウムを精錬する一次精錬工程は日本にはすでに存在せず、現在の主要国はエネルギー資源の豊富なロシア、アラブ首長国連邦、中国などである。現在の日本では、リサイクルによってアルミニウムを取り出す二次精錬が主である。これらのように、スクラップのリサイクル品は国際商品となっている。
リサイクル業においては、切断・破砕・選別・圧縮などの工程において様々な機械が必要となる。こうした設備投資に際しては、フランス・ドイツ・デンマーク製などの機械やフィンランド製のパーツを用いる。ヨーロッパは環境保全の概念・法律の両面でリサイクル事業の最先端であることから、上記の国々からの技術を取り入れてきた。ただしコロナ禍においては、購入元のメーカーのエンジニアが来日できず、危機の不具合が生じてもメンテナンス対応できないこともあった。
リサイクル品の主な出荷先は主に国内で海外は韓国、台湾、中国、ベトナム、タイなどであり、主に商社を介して販売される。
当社社長は1990年代半ば、日本青年会議所に出向し、国家機関の委員会への参加や地方自治体の公害・産業廃棄物対応の現場を訪問する機会を得た。これらにより、一度汚染された環境を元の状態に取り戻すためには、かなりの手間も費用も必要となることを実感した。こうした体験を自社の経営において活用してきたほか、若年層にリサイクル業について理解してもらえるよう、会社見学や出張講義も行ってきた。また現在、社長は一般社団法人小型家電リサイクル協会の会長職にもあり、会員数は約50社に上る。
今後、温室効果ガスの排出規制が強まる中では、排出量の多い鉄鋼業などが日本国内で操業し続けるのが困難となることも予想されるため、リサイクル資源を日本が買う側に転換することもありえるのではないかと考えている。
当社社長は、先進国が体験した公害を、同じように発展途上国が体験する必要はなく、広い知識があれば公害を避けて通ることができると考えており、幅広い人脈形成や講演を展開している。例えば日本生産性本部の職員から紹介されたインド人との交流から、社長は3度インドを視察して回った。現在、この人物はインドで小中高一貫教育を展開し、その中では日本語の授業も実施されている。
別の機会でJICAにて講演した際には、アマゾンのジャングルを訪問した経験をもとに、ブラジルの人々の自然を守ることが、世界全体の人々の生活を守ることにもなるとの話をした。モンゴルに招待され、現地住民の生活改善や環境負荷低減の対策を検討した際にはソーラーパネルの導入を発案し、リユース品の現地導入も担った。この経験は後に、日本国内でのソーラーパネルのリサイクル業着手にも結び付いた。これらのほか、現在は撤退したものの、愛媛大学での講演会をきっかけとしてモザンビークでの中古車及び中古パーツ販売業を手掛けたこともあった。
地球環境を考えるうえで、リサイクル業は今後一層重要な役割を担うはずであり、実質的に国境のない時代をどう生きるのかを見据えて行動する必要がある。この際、自ら物事を知ろうとすることと断らないことを意識することが重要である。