学部長挨拶

新型コロナウイルスなどの感染症、地震や台風などの災害、AI技術の急速な進化により社会の変化を予測することが難しくなっています。このような今後の予想がしがたい状況をVUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字をとった造語)という言葉で表します。
このような時代を生き抜くためには、残念ながら、一つの専門性を突き詰めることで正解を導くといった、私が生きてきた時代のやり方では通用しなくなっています。では、皆さんが大学以降も生き生きと活躍し続けるために、大学で何を学ぶべきなのでしょうか?私は「深く、大きく考えて、行動する」ことだと思います。
「深く考える」ためには、専門性を身につけることが必要ですが、一つの専門性を絶対視するのではなく、他分野にまたがる複眼的な専門性がより重要になります。それゆえ、本学部では「文理融合の多彩な教育」を展開してきました。また、「大きく考える」ためには、自ら社会で求められていることを経験することが何よりも大切です。そこで本学部では、講義などを通して言葉で知るだけではなく、現場に行って、人の話を聞き、社会の課題を納得できるフィールドワークやプロジェクトなど「地域の人々と協働する実践プログラム」を重視しています。最後に、「行動する」ためには、自分のやってみたい、面白そうと思う気持ちに蓋をしないことが肝要です。今の自分の学科の専門分野と少し違うからあきらめるのはもったいないです。そこで本学部では「学科横断的なプロジェクト」も用意しています。
こうして、複眼的視点で私ができることを増やして「深く考え」、社会全体をよりよくしていく視野を持って「大きく考え」、私がしたいことを実際に「行動する」、この3つの真ん中で活動できるように自分をドライブする経験を大学生活でしてほしいと思っています。最初からこの真ん中で活動できることはありません。現場に行って別の専門性を身につける必要性に気づいたり、自分たちの専門を駆使してできたモノや仕組みを実際の社会に役立てるためには何を改良すべきかを考えたり、そういった試行錯誤的な繰り返しだけが皆さんを成長させます。
愛媛大学社会共創学部でしか経験できない、情熱を燃やすことができる4年間があります。一緒に明日の社会をつくるチャレンジをしましょう。

社会共創学部長
松村 暢彦