準正課教育・正課外活動について

カリキュラム外での活動を通じて社会共創力を磨く

社会共創学部では、自主性の涵養、実践的な知識・技能の修得、地域社会との協働など、学生の社会共創力の育成において、正課外で行われる各種活動への学生参加を重視しており、こうした活動を「準正課教育・正課外活動」として正式に位置づけ、活動サポートを積極的に行っています。学生の活動への参加は自由意志によるものですが、教員や地域ステークホルダーの指導や助言の下、多くの学生が多様な活動に参加し、精力的に活動を展開しています。

準正課教育・正課外活動ピックアップ

機能性和紙・芭蕉紙の試作開発

試作開発された芭蕉紙

試作開発された芭蕉紙

バショウ(芭蕉)はバショウ科の多年草であり、長さ1メートル以上の大きな葉に特徴があります。この葉は繊維分に富んでおり、繊維製品としての利用が可能です。バショウを用いた産品としては沖縄の芭蕉布が有名ですが、沖縄以外ではバショウを積極的に用いた産品は僅少です。愛媛県では、バショウは南予地方を中心に分布しており、盆行事など祭事の際の飾りつけとして使われることから、庭先に多く自生していますが、これ以外に利用されることはありませんでした。本活動ではこうした背景に着眼し、他学部や地域ステークホルダーと協働して、バショウの繊維を用いた手漉き和紙「芭蕉紙」の試作開発に取り組んでいます。また、芭蕉紙の生産販売方法を企画して、各種ビジネスプランコンテストにも積極的に応募しています。2017年に開催された第4回「松山地域クラウド交流会」では、優勝を勝ち取っています。

 

山岳・文化資源を活用した観光振興の可能性-法皇山脈魅力発信プロジェクト-

歩いた登山道をGPSの軌跡で確認する

「登山」は人気のある観光行動の一つですが、近年では若い世代の登山離れや安全登山に対する意識の低下が課題となっています。「法皇山脈魅力発信プロジェクト」では、愛媛県や新居浜市、四国中央市と連携し、東予地方に位置する法皇山脈の山岳資源を活かした登山観光と2市の観光振興の可能性を検討し、観光コンテンツを制作しました。地域の様々なステークホルダーと連携し、別子銅山産業遺産や多喜浜塩田、川之江城下の歴史文化、紙産業、土佐街道など、様々な文化資源について調査し、登山と関連付けたモデルコースを造成しました。また、登山経験の少ない大学生がモデルとなり、安全に登山を楽しむための学びやノウハウを公開し、観光PRと安全登山の普及にも取り組んでいます。現在、制作した観光コンテンツは「えひめ東予まるごと山ネット」にて公開されています。

 

はだか麦パン「ひめの麦畑」のPR方策を考える

グランプリを獲得したグループへの表彰

発表者、審査委員全員による記念撮影

愛媛県は、大麦の一種であるはだか麦の国内第一位の生産地です。こうした背景もあり、愛媛県パン協同組合では、このはだか麦を80%以上使用したパンを「ひめの麦畑」ブランドとして展開しています。社会共創学部では、2016年度より愛媛県および愛媛県パン協同組合と連携し、ひめの麦畑のブランド化及び新市場開拓に取り組んでいます。2016年度は、学生有志11名が3グループに分かれて「ひめの麦畑」のブランディングを目的としたPR方策について検討し、同年度末に各グループが企画したPR方策の提案およびステークホルダーによる審査会が開催されました。審査の結果、「リアル(実店舗の充実)とバーチャル(web/SNSによる情報発信)によるPR手法を織り交ぜた企画」を提案したグループがグランプリを獲得しました。

スポーツボランティア研修会への参加

研修会におけるグループワークの様子

2020年に開催される東京オリンピックなどを始めとして、国内では大規模なスポーツイベントが増加する傾向にあり、こうしたイベントの成否には運営支援に関わるボランティアの存在が欠かせません。また、地域スポーツクラブの運営などの生涯スポーツの場面でもボランティアの存在は不可欠です。これらの状況を踏まえて、社会共創学部で2016年度よりNPO法人日本スポーツボランティアネットワークに加入し、スポーツボランティア研修会を開催しています。2016年度は地域資源マネジメント学科スポーツ健康マネジメントコースを中心とする有志が研修会に参加し、スポーツボランティアに関する講義やワークショップに参加しました。スポーツを支える側から改めてスポーツという概念を考える機会を得るとともに、これからのスポーツボランティアのありかたに可能性を感じる議論が展開されました。

アーバンデザインスクール

アーバンデザインスクールの様子

将来のまちづくりの担い手を育成するとともに、まちなかのファンを増やすことを目的として、まちづくりを実践的に学ぶ「アーバンデザインスクール」を松山アーバンデザインセンターが母体となり、松山市内の4つの大学(愛媛大学・松山大学・聖カタリナ大学・松山東雲女子大学)の連携により運営しています。参加者は、まちとの関わりや多様な人々との交流を深めつつ、まちづくりの企画からワークショップ、市民講座への参加を経て、まちづくり活動の実践に至るまでまちづくりに関わる一連のプロセスを体験し、その中で自ら成長していくと共に、まちの歴史や文化に根ざした松山市ならではの魅力的なまちづくり活動に結実させていくことを目指します。

松山アーバンデザインセンター

「ぎゅぎゅっと愛南! 夏の陣 ~海と山を喰らう~」への参加

「愛南ぎょしょくビンゴ」の司会進行をする2年生女子学生

産業イノベーション学科海洋生産科学コースの研究教育拠点は、愛媛県最南端の愛南町に位置する愛媛大学南予水産研究センターにあります。愛媛県南予地区周辺の唯一の大学施設ということもあり、海洋生産科学コースは愛南町を中心とする各種地域イベントに積極的に参加しています。例えば、愛南町で水産業関連最大のイベント「ぎゅぎゅっと愛南! 夏の陣 ~海と山を喰らう~」が毎年5月に開催されており、同イベントに海洋生産科学コースを中心とする学生有志が参加しています。2017年度は、学生の自主企画として「愛南ぎょしょくビンゴ」を実施しました。これは水産版食育「ぎょしょく教育」のクイズにビンゴのゲーム性を取り入れたものです。本学科学生が前日までの準備はもちろん、当日の司会のほかイベント全体の進行もすべて地域住民との協働で行っています。

防災リーダークラブによる地域防災支援活動

愛媛大学防災リーダークラブと松山市消防局「ハッピーカバー君」

防災リーダークラブと松山市消防局「ハッピーカバー君」

愛媛大学と松山市では、2015年度より連携プログラム「実践的学生防災リーダー育成プログラム」を実施しており、その一環として共通教育科目「環境防災学」を通じた学生防災士の養成と、松山市登録のNPO団体「防災リーダークラブ」の活動を通じた市民防災活動の推進を展開しています。「環境防災学」を通じて防災士資格を取得した学生は3年間で500人にもおよび、そのうちの有志が「防災リーダークラブ」で活動しています。同クラブでは、大学教員はもちろんのこと、松山市消防局をはじめとする行政組織や地域の防災リーダーと連携し、地区防災計画の策定、防災教育、避難訓練の企画運営、各種防災イベント支援など、地域密着型の防災活動に積極的に取り組んでいます。

地元に学ぶ地元学

地元学のまとめ作成の間に記念撮影

地元学のまとめ作成の間に記念撮影

地元学とは、地域の人々と外部の人々とが協働し、自分たちの住む地域を足元から見つめ直すことで、地域づくりのきっかけをつくる実践的手法です。これまで本課外活動は西予市明浜町狩江地区と西予市城川町高川地区で開催されており、高校生、大学生、社会人など世代や立場の異なる参加者が一緒になって、住民の方に話を伺い、地域を案内してもらいながら、暮らしの中に驚くような知恵を見つけ、最後にこれらの知見を地域の人々に発表します。何気ない生活の中での「発見」が地域づくりのきっかけとなっているだけではなく、参加者が地域の人々の優しさに触れることで、世代間や地域間の交流が深まっています。また、この活動は大学と高校や地域とのネットワークづくりのきっかけとなっています。

WRO(World Robot Olympiad)in Ehimeへの運営支援と競技参加

ロボット調整の様子

WRO(World Robot Olympiad)は日本各地はもとより世界中で開催される自律型ロボットによる国際的なロボットコンテストです。産業イノベーション学科では、本学部設立1年目からものづくりコースを中心とする有志がWRO中四国地区予選会(高校予選会および小中高・一般エキシビジョン)の会場運営をお手伝いするとともに、一般エキシビジョンに参加しています。2017年の同地区予選会の一般エキシビジョンでは本学科より5チームが参加し、1チームが優勝に輝きました。また、ものづくりコースを中心とする有志が課外活動として行った「ロボ研修」に参加した四国中央市立新宮小中学校からも参加があり、中学校エキシビジョンで優勝しました。

社会共創カウンシルと協働した地域活性化の現場学修・体験ツアー

百姓百品でネギ栽培の説明をうかがう

社会共創学部の運営は、従来の「教授会」のような教員組織だけではなく、地域ステークホルダーの代表から構成される「社会共創カウンシル」によって行われています。地域資源マネジメント学科農山漁村マネジメントコースでは、社会共創カウンシルメンバーのもとを訪れ現場から実践的な知識や経験を学ぶ現場学修・体験ツアーを積極的に行っています。2016年度には株式会社百姓百品村と無茶々園を訪問し、カウンシルメンバーの取り組みを学びました。百姓百品では、活動の概要をうかがった後、ネギの加工・出荷と生産現場を見学しました。無茶々園では段畑からの景色を一望し、ジオツアーについて学びました。こうしたカウンシルと学生との直接的な交流は、学生の正課活動や課外活動などの展開にもつながっています。

市民調査による環境モニタリングへの参加

東温市上林における植物モニタリング

調査、というと職業研究者のような特別な職能を持った人々に限定される営みのように思えますが、調査とはこうした人々に特権的な営みではありません。特に一般市民による調査(市民調査)は社会的課題を理解し、それを解決していくための具体的な行動の一つです。本活動では各種環境モニタリングの基礎的技能を修得することと、市民調査の現代的な意義を理解するために、NPO法人西条自然学校(西条市)をはじめとする県内の環境系団体や個人と連携した市民調査による環境モニタリングや勉強会に積極的に参加しています。具体的にはモニタリングサイト1000里地調査(東温市上林)や冬季に飛来するツル類(西予市・西条市ほか)のモニタリングや関連する勉強会に参加しています。