授業紹介

材料科学

授業のねらい

材料には、金属やプラスチックなど様々な種類があります。本講義では、これら材料の中で、紙産業コースで学習する紙の原料である木質バイオマスについて、様々な角度から学びます。

授業の内容

木質バイオマスである木材は、住宅や家具、玩具などいろいろな用途に使われているとても身近な材料です。また、日本は国土の約7割が森林で、この森林から生産される木材は、国産資源としても重要な材料です。このような木材において、文理融合の社会共創学部における材料科学の授業では、成分や構造などの材料化学的な観点、木材産業や利用、並びに循環型社会形成への役割などの社会科学的観点の両面から学習をします。講義では、次に示す木材を取り巻くいろいろな内容を学ぶことができます。

〇ミクロ的に見た木材

木材が実際に使われている製品を「見て、触って」木材の特徴や問題点などをみんなで議論している様子

木材が多くの用途に利用されてきた理由は、強度や加工性などの木材が持つ特性に起因します。この特性は、セルロースやリグニンなどの成分とこれら成分で形成される構造が重要です。さらに、これら成分や構造を分析することが木材の特性を知ることにもつながります。

〇マクロ的に見た木材

住宅などの木材を利用している製品は、その製品に求められる性能に合わせて様々な樹種の木材が使われています。また、さらなる機能化や新しいニーズに対応できる特性に対応できる材料としてエンジニアリングウッドといわれる木材を加工した材料もあります。

〇社会的に見た木材

木材は再生可能資源であり、カーボンニュートラルな社会実現に向けては、今使われている木材用途だけではなく、木材が使われていない用途にも利用が広かることは重要です。そのためには、木材における材料面での技術革新も必要ですが、木材の利用が促進される社会システム(国内林業、新たな用途に対応できるサプライチェーン、リサイクル等)を構築することが重要になります。

教員からの一言

木材だけではなく、全ての材料は「適材適所」、すなわち、製品の求める特性に対して、その特性に適合する材料が使用されています。そして、「適材適所」な材料は、分子レベルのミクロなメカニズムから消費者や社会が求めるニーズへの対応まで全て網羅しなければなりません。本講義では、木材を事例に、広域に材料の科学を理解しましょう。