授業紹介
ものづくり実習
- 学科: 産業イノベーション学科
- 学年: 2年次
- 教員: 小長谷 圭志、高橋 学、 山本 智規
- 科目群:専門力育成科目群
授業の目的
「ものづくり実習」の授業では、製造技術の基礎から最新のデジタル製造までを包括的に学び、実践的なスキルを磨きます。目標は、工作機械の操作だけでなく、CAD/CAMソフトウェアのスキルを駆使して設計から製造までのフルサイクルを理解し、将来のエンジニアリングキャリアにおいてリーダーシップを発揮できる知識と実力を身につけることです。
授業の内容
一連の流れ
はじめに、材料選定、設計から行います。機械には機能があり、機能を実現するための形や材質を決めなければなりません。図面ができれば加工を行います。手作業で材料の切り出しから行い、その後工作機械による精密加工をします。作業途中に計測して目標の寸法に近づいているか確認しながら慎重に作業していきます。最後に品質検査をイメージして寸法精度の評価を行い、加工時の反省に活かします。
金属加工の魅力
身近な機械としてのおもちゃやお菓子のおまけなどはプラスチックでできている場合が多いですが、電化製品、産業機械は主に金属でできています。小中学校教育では木工加工を経験することがあるかと思いますが、金属加工は大学で初めて経験する場合が多いのではないでしょうか。切る、削る、つなぐ、曲げる、塗装など幅広い加工が行われていますが、授業では切る(切断)、削る(切削)を主に扱います。
デジタル時代にこそ大切な五感
ものづくり現場でもデジタル化が進み、機械加工が主流になっています。通常運転ではボタン一つでものづくりが可能です。ところが、異常があると機械が動かず、人の力が必要になります。教育現場ではあえて手作業の工具を使う加工、工作機械を手で操作する加工が重要だと考えています。機械動作音を聞き、被加工物の位置を把握して、周囲の人とコミュニケーションを取りながら作業する。ものづくりにおいて肌で感じる経験は、安全安心のデジタルマニュファクチャリングを進めるためにも必要だと思います。
安全とは何か
安全な加工とは何でしょうか。安全性の低さは、事故の発生率と発生したときの被害の大きさの両方で決まります。安全性を高めるには、この2つを低く保つことが大切です。対策を講じるために、原因を設備・作業マニュアル・人に分類して考えます。これら3つの要素はこの順番でリスクを低減していくことが重要です。まずは、普段使用する装置の状態を知っておくこと、理想的な装置の動作状態、故障事故例を知っておくことが必要です。次に作業マニュアルについて、各作業の安全性が高いものへの変更、順番の変更などを検討します。最後に作業者の体調や習熟度などを加味して実際の作業を行うことが望ましいです。
工具や加工の速さのこと
対象物や加工形状に応じて工具の選択や切削(または切断)速度を変えることも必要です。対象物が硬ければ強い工具を使うか回転数を高くする必要があります。またむやみに切削速度が速いと表面の粗さが問題になるだけでなく危険性も増してきますので、適切な速度への調整が重要です。
教員からの一言
ものづくり実習に興味を持っていただき、ありがとうございます。履修生は「ものづくり実習」を通じて新しいスキルを身につけることができます。これは新しい冒険の一歩かと思います。機械工学の世界は広大で興味深いものです。挑戦が素晴らしい発見と学びにつながります。
工作機械は、モノづくりの現場で欠かせない存在です。様々な素材を加工し、製品を形作るために使われています。この実習では、その工程や技術に触れ、実践的な経験を通じて理論を補完していきます。
失敗は成功のもと。どんな小さなミスも、新たな気づきや学びの機会です。遠慮せず、質問することや他の履修生とコミュニケーションをとることで、より深い理解が得られます。
最後に、この実習が履修生のみなさんの進路やキャリアに役立つことを願っています。自分の興味を追求し、パッションを持って取り組んでください。どんな疑問や困難があっても、私たちがサポートします。頑張ってください!