授業紹介

紙加工技術論

授業のねらい 

紙製品は、印刷用紙や筆記用紙、新聞用紙などの情報記録紙、包装紙や段ボールなどの包装用紙、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの衛生用紙がよく知られていますが、この他にも、紙に特殊な加工を施すことにより、自動車部品、医療・介護製品、食品・農業用品、電気・電子部品、土木・建築用品、一般生活用品などで活用できる製品が開発されており、様々な分野で紙の利用が拡がっています。本講義では、紙加工技術によって上記の特殊な紙がどのように製品化されているかについて学びます。また、シート素材と加工技術は密接に関連していることから、原紙に用いる原料の選択とその特性について学びます。

授業の内容

自動車部品分野で使用されている紙製品の一例

前述のように紙加工技術を活用することにより、特殊な機能を有する紙製品が各産業界で拡がっています。本講義では、自動車部品分野、医療・介護製品分野、食品・農業用品分野、電気・電子部品分野、土木・建築用品分野、一般生活用品分野において、実際に製品開発が行われた事例を取り上げながら、その製品の特徴を説明します。また、製品開発に至ったアイデアや発想のきっかけについて概説します。

例えば、以下のような紙製品について紹介します。

・自動車部品分野:
 エアーフィルター、オイルフィルター、
 燃料フィルター、オートマチック車耐摩擦材など
・医療・介護製品分野:
 手術着、抗体担持マスク、滅菌紙、ケアペーパー、
 バイオセンサーチップ、保湿ティシュなど
・食品・農業用品分野:
 耐水紙、耐油紙、耐熱紙カップ、パルプモウルド、
 育果紙、紙マルチシート、鮮度保持段ボールなど
・電気・電子部品分野:
 電池セパレータ、コンデンサー絶縁紙、基板原紙、磁性紙、スピーカーコーン、導電性ダンボールなど
・土木・建築用品分野:
 ジオテキスタイル、難燃紙、断熱紙、紙布壁紙、畳表など
・一般生活用品分野:
 水引細工製品、ノーカーボン紙、クレープ紙、水溶紙、レシート用感熱紙、シールテープなど

教員からの一言 

「紙加工技術論」に興味を持っていただき、ありがとうございます。履修生はこの授業を通じて、製品開発を行っている方々が課題を解決しようと努力する取組みや、新しい発想で紙製品を開発されたことに気づくと思います。

我々も『こんな紙があったらいいなぁ~』という発想から開発した製品があります。それは、『一定時間内であればボールペンで書いた文字(インキ)を消しゴムで消すことができて、しかも、所定の時間が経過すると文字(インキ)を消去できなくなるタイマー機能を付与した機能紙』(https://www.cri.ehime-u.ac.jp/researches/research-12261/)です。この製品開発には多くの課題がありましたが、新しいアイデアを提案することにより、課題を一つずつ解決しました。そして、成果が得られる度に、「感動」と「達成感」を感じました。

この授業では、企業等で実際に製品開発が行われた事例に加えて、我々が開発した技術や製品を取り上げながら、その製品の特徴を説明しますので、皆さんもアイデアや発想のきっかけをつかむヒントになるのではないでしょうか。製品開発に関しては、従来の方法では困難と思われていたものでも、科学の原理を理解した上で、工夫を加えながらチャレンジしてみることが重要だと思います。この授業を通じて、皆さんが様々なことにチャレンジするきっかけにつながることを期待しています。