授業紹介

自然災害学

授業の目的と内容

本授業では、日本や世界の自然災害について理解することと地域の持続的発展と自然との共存について学び、災害に遭わない社会づくりや減災技術の推進について理解することができます。自然災害の発生要因と実例、過去の災害履歴、災害のない社会づくり、土砂災害、洪水災害・浸水災害、地震災害・津波災害、火山災害に関する基礎を把握することができます。さらに、人為的要因による自然災害の増加や防災計画のない社会づくりが招く自然災害の現状を知り、災害のない地域社会づくりについて理解することができます。
「災害は忘れた頃にやって来る」と言われています。また、災害は人間の豊かな社会の形成により、居住空間や活動範囲の拡大に伴う過程で自然を様々に利用・改変した結果、時代とともにその様態が変化しており、一度災害が発生すると多くの人的・経済的被害につながる恐れがあります。本授業では、多種である自然災害のうち、上述したように主に「地質」と「気象」に関係する災害①土砂災害、②洪水、③地震、④火山などを中心に学びます。初めに、自然災害と人間社会全般について説明し、つぎに地球内外に起きる様々な現象がどのように自然災害を引起すのかについて、それぞれの自然災害の原因について学習します。そして、被害状況や災害対策について学習し、自然災害による危険性の認識から自らの生命・財産を守るという意識の向上から災害のない地域社会の発展を目指します。

なぜ自然災害学か?

人間社会づくりの基本要素の一つである「安全安心である地域社会」の一環として「防災」が挙げられますが、災害大国の日本では安全な地域社会づくりから「防災」は欠かせません。災害を防ぐ、または減らすことなどに関する人間社会の総合的な努力のことを「防災」と言われていますが、防災に携わるのに必要なのが「災害の科学」、「災害のしくみ」、そして「自然環境と人間社会」を理解することです。本授業では、これらのことを理解し、将来災害のない地域社会づくりに携わることができます。

教員からの一言

今、日本だけではなく世界的にも大規模自然災害が多発しています。特に21世紀に入ってから大規模自然災害による人的被害が100万人を超えています。2004年のインド洋津波災害による30万人近い犠牲者や2011年3月に起きた東日本大震災による2万人弱の犠牲者以外にも地震災害、土砂災害、洪水災害のほか様々な自然現象による被害が過去の記録を超えています。過去10年の日本の災害状況を見ても、毎年どこかで災害が起き、数百人の犠牲者が出ています。また、インフラや資産的被害も数十兆円を超えています。今年起きた西日本豪雨災害でも広域的に約230人も犠牲になりました。気象変動や地球温暖化等影響もあると言われている中、気象災害(風水災害)が増えている一方、今国民一人一人が自然災害のしくみと防災について学ぶことがもっとも重要です。