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授業紹介

歴史遺産論

地域の将来のための地域資源:歴史遺産や文化財

地域の歴史、そして歴史遺産や文化財の意義

私たちが生きている「地域」には連綿と歴史があり、その積み重ねの上に私たちが生活を営んでいます。地域を考えるときに、地域の歴史は当たり前のように大切な存在で、それをあらわす歴史遺産や文化財もまた大切な存在です。
今や、地域の歴史遺産や文化財は、地域資源として、将来の地域づくりになくてはならない存在になりました。観光資源として活用されたり、歴史アイデンティティの寄りどころとして取り扱われたり、ただその歴史的価値を以って保存されるだけの時代ではなくなりました。

歴史遺産論の基礎

しかし、ともすると歴史遺産や文化財は本来の歴史的意味を失い、あるいは歪曲されて用いられることもあります。基本的には、その歴史遺産や文化財がもつ本来の歴史的事実や価値は大切にされながらも、地域において持続的に保存・活用されることが求められます。歴史遺産論では、まず歴史遺産や文化財を取り巻く我が国そして世界の制度や行政のしくみ、および歴史的背景を学びます。そのうえで、地域と歴史遺産・文化財を取り巻く諸問題を解題していきます。

また、歴史遺産に関わる方がたを招聘して、多彩な特別講義を行っています。
中国における文化遺産の保護と活用(秦小麗氏・復旦大学)
文化資源はなぜ大事なのか-バリ島民族考古学事例から-(細谷葵氏・お茶の水大学)
文化遺産の保存と継承の諸問題-松山市の取組事例から-(楠寛輝氏・松山市教育委員会)
文化遺産の「創造」へのチャレンジ(村野正景氏・京都文化博物館)
ハンセン病と重監房跡資料館(黒尾和久氏・国立重監房資料館)

歴史的事実や価値の解明

そもそも歴史遺産や文化財とは何か。遺跡や、古建築などの有形のもの、祭や伝統行事などの無形のものをどのように見たらよいでしょうか。歴史遺産や文化財は当初から歴史的な価値づけをされてきたわけではありません。様々な角度からの学術的な手続きを経て、歴史的事実が明らかにされたことにもとづきます。また、現在に存在するということは、数十年あるいは数百年・数千年にわたり、のこってきたことを意味します。つまり、過去の時代において、人々の生活のなかにあったり、のこす取り組みをしたりしたのかもしれません。

地域資源として将来に活かす

そうした歴史的由来があり、関わった人々のことも明らかにしておく必要があります。こうした探究的手続きを経て、歴史遺産や文化財は保存・活用されることが大切です。
ただし、保存だけでは、のこす意味はまだ足りません。地域社会が、歴史遺産や文化財を如何に自らの将来に活かすのかが問われています。地域づくりのなかで、のこし活かしていく方法もさぐりたいと思います。