授業紹介

文化遺産論Ⅰ

地域の文化遺産や文化財を、これからどうしたらよいのか!

地域の歴史、そして文化遺産や文化財の意義

私たちが生きている「地域」には連綿と歴史があり、その積み重ねの上に私たちが生活を営んでいます。地域を考えるときに、地域の歴史は当たり前のように大切な存在で、それをあらわす文化遺産や文化財もまた大切な存在です。
今や、地域の文化遺産や文化財は、地域形成になくてはならない存在になりました。観光資源として活用されたり、歴史アイデンティティの寄りどころとして取り扱われたり、ただその歴史的価値を以って保存されるだけの時代ではなくなりました。

文化遺産論の基礎的内容

しかし、動もすると文化遺産や文化財は本来の歴史的意味を失い、あるいは歪曲されて用いられることもあります。基本的には、その文化遺産や文化財がもつ本来の歴史的事実や価値は大切にされながらも、地域において持続的に保存・活用されることが求められます。
文化資源マネジメントコースで開講される文化遺産論Iでは、まず文化遺産や文化財を取り巻く我が国そして世界の制度や行政のしくみ、および歴史的背景を学びます。そのうえで、地域と文化遺産・文化財を取り巻く諸問題を解題していきます。

歴史的事実や価値の解明

そもそも文化遺産や文化財とは何か。遺跡や史跡などの有形のもの、祭や伝統行事などの無形のものをどのように見たらよいでしょうか。文化遺産や文化財は当初からその遺産や財としての価値づけをされてきたわけではありません。様々な角度からの学術的な手続きを経て、歴史的事実が明らかにされたことによります。また、現在に存在するということは、数十年あるいは数百年・数千年にわたり、遺ってきたことを意味します。つまり、過去の時代において、人々が残してきたり、保存してたりしたかもしれません。

これからの保存と活用

そうした歴史的由来があり、それも明らかにしておく必要があります。こうした学術的・探究的手続きを経て、文化遺産や文化財は保存・活用されるべきでしょう。
ただし、保存だけでは現在あるいは未来に残す意味はまだ足りません。地域社会が、文化遺産や文化財を如何に自らの地域に活かすのかが問われています。これまで存在してきた文化遺産や文化財を未来の時代まで、意味を持って残す方法もさぐりたいと思います。