授業紹介

海洋生産科学Ⅰ

持続的に海からの食料を利用していくために!

授業のねらい

南予水産研究センター西浦ステーション(うみらいく愛南)の全景

「海洋生産科学」で学ぶ水産業は複合的な産業であり、漁獲や養殖といった「生産」、出荷から消費者のもとに届くまでの「流通」、また製品の「加工」といった複雑なプロセスから成り立っています。加えて、それを支えている海の環境も重要です。そのため、例えば「生産」では魚類の生態学、生理学、栄養学など生命科学分野の知識、流通では、経済学、社会学など社会科学分野の知識が必要とされます。この授業では、学問的知識だけではなく、なぜそうしたことを知る必要があるかを演習形式で体験してもらうことをねらいとしています。
そのねらいに沿って、「海洋生産科学」は海洋生産科学コースの基盤となるシリーズ授業として位置付け、各学年において1学年の「海洋生産科学概論」、3学年の「海洋生産科学I」、4学年の「海洋生産科学II」へとステップアップしていきます。その中の「海洋生産科学I」は演習形式で実施し、日本や愛媛地域の水産業における現状と課題について、フィールドワークを実施し、その結果について科学的な分析方法を修得することを目的としています。

 

到達目標

養殖生簀枠への網設置の実習風景

将来、社会に出て水産業や関連職種に携わる場合、学問知識だけではなく問題を解決する実行能力と解決方法を見つける力が問われます。いくら社会に貢献したいと頭で考えても周りの人に共感してもらう必要があり、それらが伴わなければ何も前進しません。そのため、海洋生産科学Iの演習は、生命科学、社会科学、環境科学を幅広く総合し、個々人の学習するための力や経験値を増やす一助とすることを目標としています。
具体的には、①水産業と漁村地域に関わる生産、流通、加工、販売の一連の流れを理解すること、②水産業、漁村地域、水産養殖におけるフィールドワークを通じて、現状と課題を理解すること、③社会科学的な分析(インタビュー、アンケート、統計分析など)を通じて、課題の析出と改善策の提示ができるようになること、④生理学的な分析(サンプリング、遺伝子解析、顕微鏡観察など)を通じて、課題の析出と改善策の提示ができるようになること、の4点に重点をおいたフィールドワークを実施し、水産業が抱える問題点について理解し、改善策などについて提言することができるようになることを到達目標にしています。

 

教員から一言

海洋生産科学Iは愛南町にある社会連携推進機構所属の南予水産研究センター(南水研)をベースに実施されます。南水研は2009年に開所され、今では地域と良好な連携関係が築けていますが、一朝一夕にそうなった訳ではなく、教職員や学生の多くの努力が結実した結果と言えます。その過程で何より重要と感じたのは、こちらが地域の水産研究に真摯に取り組んでいることを認めてもらい、漁業のプロ、養殖のプロ、流通のプロと互角に対話ができ、信頼してもらえるようになることです。受講者はチャンスを活かして少しでも自分に力をつける努力が必要です。

スマ稚魚の体長、体重の計測実習風景

スマ未成魚の船上体計測と大型魚の選抜作業風景