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2018.08.23 研究

羽鳥剛史准教授が学術誌「科学・技術研究」第2回優秀論文賞を受賞しました【2018年6月】

環境デザイン学科の羽鳥剛史准教授が、学術誌「科学・技術研究」第2回優秀論文賞を受賞しました。

本研究は、現代社会に見られる「効率性重視」や「没主観性」等の風潮を、社会学者ウェーバーが論じた官僚制化の観点から捉えると共に、哲学者オルテガの大衆社会論に依拠しながら、官僚制化の心理構造を理論的・実証的に検討した結果、近代社会に特有の官僚制化の背景には、大衆社会化による公共心の低下が存在する可能性を指摘したものです。

大衆性(傲慢性と自己閉塞性)と社会の官僚制化に関わる態度項目との関連性についての共分散構造分析結果

本論文は、現代社会の抱える問題の本質的な部分を統計的な手法を用いて実証論的に研究したもので、非常に多くの示唆に富んだ論文です。みんなといっしょでなければ不安とか、ちょっとしたことが許せないという不寛容とか、あるいは受験制度に伴うさまざまな弊害、さらには論文投稿における審査過程がもたらす論文誌の質の低下などそれら全てが本稿に述べられている大衆による官僚制化の心理構造に包含されると言えます。本誌、「科学・技術研究」も、いつまでも開かれたコミュニティを目指すべきと改めて啓蒙されました。(科学・技術研究会 推薦理由より)

【論文情報】
著者: 松本和也,羽鳥剛史,竹村和久
タイトル: 大衆による官僚制化の心理構造に関する実証的研究
掲載号: 科学・技術研究,4(2), 165-172, 2015