研究紹介

赤潮・魚病の早期発見・早期対策に関する研究

  • 教員: 清水 園子
  • 学科:
  • コース: 海洋生産科学コース
  • キーワード: 赤潮、魚病、遺伝子モニタリング、早期発見、発生予測、早期対策

はじめに

愛媛県は日本でもトップクラスの養殖生産地であり、マダイや、真珠母貝、真珠の養殖生産量は全国1位、その他にもブリ類、クロマグロ、ヒオウギガイなど、多種多様な養殖が行われています。しかしながら、有害微生物による赤潮や魚病の発生が、養殖魚介類の大量死や品質劣化を引き起こし、持続的・安定的生産を妨げる大きなリスク要因になっています。私たちの研究室では、水産被害の低減を目指して、赤潮や魚病の早期発見・早期対策に関する研究を行っています。

カレニア・ミキモトイの赤潮。右上はカレニア・ミキモトイの細胞写真

研究内容と特色

赤潮で海水の着色が確認されたときや、魚病で養殖魚の死亡が確認されたとき、すでに漁場に拡大して、対策が間に合わず長期化する場合が多くあります。私たちは、有害・有毒プランクトンや魚病病原体の遺伝子情報を用いて、海水中からこれらを高感度に検出し、発生前や極初期の早期段階でプランクトンの出現や増殖を検出する研究を進めています。特に赤潮については、すでに早期検出情報を漁業者へ情報通信技術(ICT)を用いて情報を発信し、早期対策につなげる取り組みを実施しています。

遺伝子測定装置(左)と宇和海海域での有害プランクトンの挙動(右)

 

宇和海情報サービス『You see U-sea』(http://akashio.jp/

研究の展望

現在、有害赤潮プランクトンの遺伝子の挙動と海洋環境の変動を合わせた赤潮発生の予測や、病原体遺伝子と魚類の生理状態の変化から魚病の発生を早期に発見する研究を行っています。また、化学的手法や生物学的手法を用いて有害プランクトンを特異的に除去する赤潮防除法の開発も行っています。これらの研究を養殖現場へ還元することで、持続的・安定的な水産業に貢献できる研究をしていきたいと考えています。

防除剤により崩壊した有害プランクトン

 

養殖生簀での海水サンプリングの様子