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報告書

海藻付着性赤潮殺藻細菌の効果的利用法確立のための基盤研究

愛媛県の宇和海海域は、日本有数の魚類養殖地域であり、養殖生産量は全国第1位を誇ります。しかし、有害プランクトンによる赤潮の突発的な発生は、養殖魚の大量死や品質低下を引き起こし、安定的な養殖生産に大きな影響を及ぼします。そのため、環境への負荷が少なく、持続的に利用可能な赤潮防除技術の開発が求められています。
近年、赤潮を引き起こす有害プランクトンを死滅させる「殺藻細菌」が、自然の生態系機能を活用した新たな赤潮防除手段として注目されています。これらの細菌は海藻や海草の表面に多く付着して存在していると考えられており、そのため、殺藻細菌と海藻の関係性を明らかにすることは、赤潮防除への実用的な活用につながると期待されます。

そこで本研究では、まず、これまでに我々が愛媛県愛南町海域から分離し、有害赤潮藻類カレニア属に対して強い殺藻活性を示す殺藻細菌3株を対象に、愛南町の養殖生簀に生息していた14属78試料の海藻の表面に付着する各殺藻細菌のDNAについて、特異的定量PCR法により検出・定量を行いました。その結果、3株の殺藻細菌はいずれも複数の海藻属から検出され、アオサ属、ホンダワラ属、オゴノリ属など、養殖海域に広く分布する海藻にも付着していることが明らかとなりました。

さらに、アオサ属を指標となる海藻として、環境DNA(eDNA)分析を用いた分布解析を行いました。愛南町海域19地点で採取した海水を対象に定量PCR分析を行った結果、アオサ属および殺藻細菌3株のeDNAはいずれも広範囲から検出されました。また、アオサ属と殺藻細菌のeDNA量の間には、有意ではあるものの弱い正の相関が認められ、両者が同じ環境下で分布している可能性が示唆されました。

本研究により、養殖海域における殺藻細菌の付着・分布実態の一端が明らかとなり、今後の赤潮防除技術の開発に向けた基礎的知見を提供するものと考えられます。
得られた成果は、2026年2月11日に開催された「第4回南予水産・地域研究交流会」において、産業イノベーション学科4年生の卒業研究成果として、高校生や一般の方々へ公開しました。

 

代表者:清水 園子(産業イノベーション学科)