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報告書

愛南町における藻場調査活動のための環境DNA分析技術の開発

第3回南予水産・地域研究交流会における成果発表

海藻の群落である藻場は、海洋環境の保全にとって大きな役割を果たしています。愛南町の沿岸域にも様々な海藻種の藻場が存在していますが、一方で以前と比較して愛南町沿岸域の藻場が減少したとも言われています。そこで私たちは、環境水中に含まれる生物のDNAを解析する「環境DNA分析手法」に着目し、愛南町沿岸域の海藻類の分布調査を試みました。

まず、愛南町沿岸域に広く分布するマメタワラとアオサの2種を対象として、2013~2015年、2020~2022年に3海域で得られ、冷凍保存されていた海水DNAから、リアルタイムPCR法により2種の環境DNA量を測定しました。その結果、両種の環境DNAともに、それぞれの生活サイクルに応じた季節的な変動を示しており、環境DNA分析が海藻藻場調査に活用できる可能性が示されました。また10年以上前のサンプルからもDNAが検出できたことから、海水を継続的に採取・DNA抽出して冷凍保存しておくことで、将来的に過去から海藻分布量の経年変化を追跡できるものと期待されます。

さらに、愛南町沿岸域にはマメタワラとアオサ以外にも多種多様な海藻類が生息しているため、海水から構成種の全体像を把握することを目指し、5地点で海水を採取し、DNAメタバーコンディング解析により海水中に含まれる海藻DNAの網羅的検出を試みました。その結果、計37属の海藻DNAが検出され、目視観察では7属程度の同定が限界であったことを考えると、環境DNA分析は構成種の推定に極めて有用なツールとなると考えられました。

得られた成果は、2025年2月11日に開催された「第3回南予水産・地域研究交流会」において、産業イノベーション学科4年生の卒業研究成果として、高校生や一般の方々へ公開しました。

代表者:竹内 久登(産業イノベーション学科)