令和7年度以降入学生新設サイト

令和7年度以降入学生新設サイト

報告書

養殖海域に生息する赤潮殺藻細菌の特性解析:環境低負荷型赤潮防除法の開発を目指して

殺藻細菌暴露により殺藻されたカレニア細胞

愛媛県の宇和海では、マダイやブリ類など様々な魚種の海面養殖が盛んに行われており、愛媛県は魚類養殖生産量全国1位を誇っています。しかしながら、有害プランクトンの増殖に起因して発生する赤潮の漁業被害が深刻化しており、効果的かつ環境に配慮した赤潮防除法の確立が求められています。

これまで私たちは、宇和海で長年問題になっている有害赤潮プランクトンの一種である、カレニア・ミキモトイに対して強い殺藻能力をもつ殺藻細菌の分離に成功しています。これら殺藻細菌を赤潮防除剤として効率的に活用するために、プランクトンに対する殺藻機序および殺藻細菌の増殖特性や特異的殺藻能などの細菌特性の解明、さらには魚体を用いての殺藻細菌の赤潮防除効果の検証を行いました。

分離した殺藻細菌16株のカレニアに対する殺藻特性を調べたところ、いずれの株も菌体からの分泌物によりカレニアを殺藻したものと考えられました。また、それらのうちの4株について、カレニアを含む5種の赤潮プランクトン(シャットネラ、ヘテロシグマ、プロロセントラム、珪藻類)への攻撃試験を行った結果、株毎に顕著な殺藻効果を示すプランクトン種が異なっており、殺藻能力にはプランクトン種特異性があるものと考えられました。さらに、カレニアと殺藻細菌の混合液を養殖魚に暴露したところ、カレニアのみに暴露された魚に比べ生存時間が延長されたことから、殺藻細菌を赤潮防除剤として活用できる可能性が示されました。

代表者:清水 園子(産業イノベーション学科)