報告書

人口減少と高齢化が進み、日本社会は担い手不足に直面しています。こうした中、愛媛県でも外国人材の受け入れが進んできました。2024年には県内の外国人材は14,550人となり、前年比16.6%増と、全国平均(12.4%増)を上回る伸びとなりました。外国人と地域の人々がともに暮らし、働くための仕組みづくりは喫緊の課題となっています。
本プロジェクトでは、インドネシアからの技能実習生を受け入れている愛南漁協と、伊予市を拠点に介護分野などで外国人材の支援を行うJAPANNESIA株式会社の取り組みを手がかりに、外国人材受け入れをめぐる課題と可能性を調査しました。活動は、①県内の現状調査、②テーマ別の研究会、③先進地視察、④成果報告会、の4つを柱として進めました。
県内の現状調査では、愛南漁協での聞き取りや交流(計7回)、JAPANNESIAが主催する多文化交流イベントへの参加(計5回)などを通して、外国人材受入をめぐる現状把握を進めました(図1)。本学学生たちが技能実習生との交流活動を主体的に計画し、実習生がどのような思いで来日し、働き、将来を考えているのか、理解を深めていきました(図2)。また、実習生を受け入れている水産会社や、インドネシア側の送り出し機関、さらに日本語教育関係者なども訪ね、受入れに関わる全体像をみていきました。

(図1)JAPANNESIAによる多文化交流イベント

(図2)知り合った技能実習生の宿舎を訪ね、日本語を教える学生たち
課題別研究会では、先進事例として宮城県石巻市の取り組みを取り上げ、石巻専修大学の西川慧氏にご報告いただきました(2025年10月21日)。また、調査の進捗を共有しながら議論する小規模な研究会も複数回開催しました。
先進地視察では、石巻市と気仙沼市を訪れました(2026年1月19日~22日)。石巻市は、インドネシアの西ジャワ州と協定を締結し、水産高校の卒業生を毎年受け入れる仕組みが整えられていました。漁業・水産加工分野で多くのインドネシア人が働く気仙沼市では、インドネシア料理店や礼拝の場ができるなど、生活しやすい環境づくりが進んでいました。商店に海外からの食品や雑貨が並び、地域で新たな経済循環が生まれている様子が伺えました。

(図3)インドネシアやミャンマーなどからの食材が並ぶ商店(気仙沼市)
以上の調査と活動を踏まえ、愛南漁協関係者と今後に向けた課題や可能性について議論する成果報告会を持ちました(2026年3月13日)。技能実習制度にかわり来年度から導入予定の育成就労制度では、条件のよりよい地域や職場への変更が容易となっていきます。愛南漁協への定着を促すために何が必要かが課題として議論され、町役場との連携や、町内で多文化共生に関心を持つ人材の発掘とネットワークづくりの重要性が確認されました。大学は、こうした人と人をつなぐ役割を担うことが期待されています。
なお、本プロジェクトの成果は、学生の卒業論文としてまとめられたほか、学会や研究会でも発表予定です。今年度の活動を踏まえ、今後も愛南町を事例に、外国人とともに地域の未来をつくる道筋を探っていきたいと考えています。
プロジェクト・メンバー
島上宗子・笠松浩樹(地域資源マネジメント学科)、竹ノ内徳人(産業イノベーション学科)、高橋志野(愛媛大学国際連携推進機構)、西川慧(石巻専修大学)
社会共創学部学生、人文社会科学研究科院生有志
代表者:島上 宗子(地域資源マネジメント学科)

